どんな恋でも繋いでみせます!
「前に、柏木に励ましてもらったことがある」
「え、紗良に?」
今まで女子校通いだった紗良は、驚くほど男子に免疫がない。男子なんて宇宙人だと思っている。
そんな紗良が、千崎くんを励ました?
私の知らないところで、いつの間にそんなことをしてたんだ……。
逆に得体の知れない男子生徒を宇宙人のように思ってるからこそ、学校1のモテ男子の千崎くんにも話しかけて励ませるのか……?
珍しいものとか、面白そうなものには足を止めて関わろうとする紗良だったらありえるかも。
「柏木にかけてもらった言葉が純粋に嬉しかったんだよ。人の視線とか期待に疲れてた時だったから」
「そう、だったんだ」
いつの間にそんな抜け駆けみたいなことしてたんだ。紗良ったら侮れない。
でも、そんなに苦しんでいる時に千崎くんを助けてくれた紗良を誇らしく思う。さすが私の幼馴染だと。
紗良の外見じゃなく純粋に内面にいいなと思って惹かれる千崎くんも、苦しんでいる千崎くんに気づいて励ましてあげられる紗良も、2人ともいい人だ。
とてもお似合いだと思う。
どうせ自分は千崎くんとは結ばれない。
千崎くんが付き合う相手が紗良なら、そんなの願ったり叶ったりでしかない。
よく考えろ、私。
千崎くんと紗良がカップルになるなら、私もやっとこの片思いに終止符を打って諦められる。
あの時、千崎くんが私を助けてくれた時みたいに、私も千崎くんの恋を手助けしたい。それは本心だ。
だったら、断るよりも引き受けるほうが、あの時の借りも返せるのではないか。