どんな恋でも繋いでみせます!
あのストラップは、確か紗良も持っていた。

好きなアーティストのライブに行くことを過保護の紗良パパが許可しなかったから、腹いせに紗良パパのクレジットカードでグッズを全部買ったって言って、あれと同じストラップを紗良が見せてくれたことがあった。

アーティスト名が彫られているそのストラップを持っているってことは、千崎くんも好きなのではないか。



「ちょっと、凛、どうしたの?」

「……こんなとこに転がってた」

「転がってた?なんの話?」



千崎くんが首を傾げている。
そんな顔さえ後光が差している気がした。

恐らく紗良と進展できる兆しが見えて、安堵で幻覚が見えているのだろう。


共通の話題を見つけた!って今すぐ千崎くんに報告したかったけど、私はグッと堪えて何事も無かったようにイスに座る。



「本当になに?怖いんだけど」

「……やっぱり、片思いって絶望的だよね」

「その話まだしてたの?怖すぎる」



好きな人に恋のキューピットを頼まれるくらい片思いって時には絶望的で、それなのに好きな人の恋を応援してしまうせいでますます絶望的になる。


紗良はドン引いた顔でそんな私を見ていた。

私が千崎くんと紗良を繋げようと恋のキューピットをしていることを伝えたら、更にドン引きした顔で見てくるだろうな、と想像して笑いが出そうになった。

笑えてるうちはまだマシなのか。それともショック超えて笑いが出そうになっているだけなのか。

答えを出す前に考えることをやめた。



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