どんな恋でも繋いでみせます!
「またかよ、先週行ったばっかじゃん。倫太郎ヘタクソなくせにホームラン打つまで帰ろうとしねぇから退屈なんだよ」

「なんだよ!ヘタクソだったらバッティングセンター行ったらダメなのかよ!」

「ヘタクソなくせにホームランを目指すなつってんだよ」



紗良のことをそっちのけで、話をしている千崎くんと倫太郎くんに舌打ちがこぼれそうになった。



「じゃあ、私そろそろ帰るね」

「あれ、サララン帰るの?ごめん、俺2人の話の邪魔しちゃった?」



"サララン"は倫太郎くんの独特な発想でつけた紗良のあだ名だ。もちろん浸透はしていない。


それよりも邪魔してるって今頃気づいたのか……。



「いい加減そのあだ名やめてって言ってるでしょ。
いいよ、別に。また明日も話せるから」



"また明日も話せるから"そう言う紗良の顔が、心から嬉しいと思っている時に見せる綻んだ顔になっていた。

そんな表情を男の子に向けるのはもちろん初めてで、少し心が揺れた。動揺の揺れだった。

< 84 / 328 >

この作品をシェア

pagetop