どんな恋でも繋いでみせます!
「凛、ごめん、ほうき直してくれたの?」

「あ、うん」

「ありがとう、じゃあ帰ろう」



紗良は私のカバンを手に取り渡してくれる。

不規則なテンポ感で心臓が動いているような息苦しさを感じながら受け取る。

スタスタと教室の扉前まで歩くと足を止め、紗良は綺麗で細い髪をサラリと揺らしながら振り向いた。



「また明日、千崎、加瀬」



大人の女性を連想させるような、綺麗な笑みを浮かべて廊下に出る。



「ま、また明日な!柏木!」

「サララン、バイバイ!」



千崎くんの慌てたような勢いのある挨拶と、陽気な倫太郎くんの挨拶を背に受けながら、紗良は教室を出て行った。

慌てて紗良の後を追い廊下に飛び出すと、



「また明日な、填本」



千崎くんのいつもの優しい声が飛んできた。

振り返りその表情を確認する。

紗良に別れ際の挨拶をした時とは違う、落ち着いた声とほんのり口角を上げた優しい笑みを向けられていた。


素直にまたね、って返せばいいのに、なぜかこの瞬間だけ上手く声が出なかった。



「リンリーン、まったね〜!」



笑ってしまうほどの陽気な倫太郎くんの声に、締まったように声が出なかった喉がやっと開放される。



「またね、2人とも」



ぎこちない笑顔に気づかれまいと、片手を上げ開いた手の平をブンブンと左右に振った。

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