どんな恋でも繋いでみせます!
千崎くんと紗良の会話を音楽を聴くかのように流しながら、おかずに箸を伸ばす。
その瞬間、突然視界から誰かの手が伸びて、私が作った卵焼きをヒョイッとつまんだ。
驚いて顔を上げると、向かいに座っている倫太郎くんが私の卵焼きを盗み、口をおっぴろげて放りこんだ。
「あぁ!」
「んっ!うまっ!甘い卵焼きだ!」
「ちょっと!勝手に食べないでよ!」
行儀悪く箸で倫太郎くんを指さすと、彼は悪びれなくニコニコして親指を立てた。
勝手に盗まれたけど、倫太郎くんが嘘偽りない満面の笑みで「美味しいよ!」と連呼するので、思わず固く結んでいた口角が緩む。
「おい倫太郎、勝手に取って食べたらダメだろ」
「だって本当に美味しそうだったし、食べてみたいなってずっと思ってたんだよね〜」
「だからってお前なぁ」
バシッ、と千崎くんが倫太郎くんの頭を軽く叩いて注意するが、「しょうがねぇじゃん!」となぜか開き直られ偉そうにしている。