どんな恋でも繋いでみせます!

そんな2人を無視して、そういえば……と、紗良が私の弁当をまた覗きながら何気なく聞いてくる。



「凛は卵焼きいつも砂糖と塩だよね、だし巻き玉子は作らないの?」



一瞬、言葉が詰まった。

確かに私はいつも砂糖と塩で甘めの卵焼きを作るけど、昔朝食で出された卵焼きはだし巻き玉子だった。

いつから変わったんだっけ。
いつからお母さんはだし巻き玉子を作らなくなったんだっけ。

そんなことを、今紗良に言われて気づく。



「……凛?」



両親は共働きだったため、朝が早いお母さんに代わって朝食を作るのはもっぱらお父さんだった。

いつも当然のように出てくる大きな大きな卵焼きはだし巻き玉子だった。

日によって形が変わる卵焼きは、唯一お父さんが作るご飯の中で最高に美味しかった一品だった。

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