華宮さんはいつもあざとかわいい。
「先生に頼まれごと?」
明るい声で話す彼女は、みんなのアイドル華宮だ。
理科室の黒板の前に立っていた。
窓から入ってくる風に髪がなびく。
なんだか、映画のワンシーンのようだ。
「あぁ。お前も?」
彼女の声とは大きく変わり、低く緩い声で俺は聞く。
「私は…ちょっとね。」
気まづそうに話す華宮を見て、察した。
「じゃあ、」
背中を向け帰ろうとすると、
「待って!」
呼び止められ、驚いて振り向いた。
「市川くんって、クールだよね。」
「は」
「あ、良い意味でってことだよ!」
あわてたように手を振り弁解する。
怒ってるように見えてしまったのか。
「なんだか、人にあまり踏み込まないところとか。」
「多分、「興味がないから。」
「でしょ?」
彼女はイタズラっ子のように俺に笑って見せた。
「華宮は、「え!名前覚えててくれてるの!?」
「当たり前だろ。同じクラスで席隣だし。」
「てっきり興味なさすぎて、お前誰って言われると思ってた!」
「さすがに興味なくても、クラスメイトぐらい覚えれる。」
「興味なしには変わりないかぁ。
ま、いいや!それで?華宮は?」
「華宮はあざとい。」
「え、」
「良い意味で、全部計算されてる。」
つい、頭の中で思っていた事が口から出てしまう。
「、、、」
黙ってしまったから、どうしたのかと思い目線を彼女に移した。
華宮は少し驚いた表情で固まっていた。
「ばればれだったんだね。」
計算していることが。
少し残念そうな顔をして、俺の方をみる。