華宮さんはいつもあざとかわいい。
「バレちゃいけないこと?」
「うん。バレたらダメ。」
「女なんてみんなそうだろ?
自分が1人にならないように。」
「そう。みんなそうだよ。でも、自分じゃない誰かがやっていることに厳しく言うのもみんなそうだよ。」
「そんなことばっかり気にしてると疲れるぞ。」
「じゃあ、少なくとも市川くんの前では仮面を被りません!」
「仮面を被ってないお前を知らねぇけど。」
「これから知っていってねってことです!」
「まぁいいや。用済んだから戻る。」
「うん!」
少しだけ、最初に見た表情より素顔が近くに感じられる。
きっと彼女なりに仮面を取ったのだろう。
自分が理科室のドアを開くと同時に、反対側のドアが開いた。
男子生徒が入っていくのが見えて、やっぱりそうか。となる。
中から声が聞こえた。
「ずっと、華宮さんのことが好きで、、」
「ごめんね。私好きな人がいるの。」
「だれ?」
「内緒。でも、ありがとう。嬉しかったよ。」
綺麗な笑顔で返す彼女は本当の華宮なのだろうか。
まだまだ、彼女のことはよく分からない。
でも、少しだけ知ろうと思う自分がどこかにいた。