「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
【カヨ・セプルベタ視点】

浮気現場からの婚約破棄

「カヨ、おまえが悪いのだ。おまえみたいな悪女が婚約者だから、おれも他に癒しを求めなければならなかったのだ」

 皇太子にして名ばかりの婚約者であるダニエル・ウリバルリは、真っ裸で叫んだ。

 ここは、浴場やサウナ場ではない。ついでに言うと、彼自身の寝室でもない。

 皇宮の皇太子(かれ)の執務室である。

 執務室というのは、執務をしたり打ち合わせをする部屋のはずである。すくなくともその行為に真っ裸になる要素はないはず。

 そして、真っ裸は彼だけではない。このアルファ―ロ帝国を守護する聖女ブランカ・プレシアドも、である。

 わたしは、どうやら入ってはいけないタイミングで入室し、彼らの癒しの時間を邪魔したらしかった。

 つまり、いままさに目の前で「癒しの行為」が行われていたのである。

 あられもない姿で。

 これはもう呆れ返る以前の問題。
< 1 / 426 >

この作品をシェア

pagetop