「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 お母様は、あえてレインボーローズを選んで育て上げた。

 お兄様とわたしの「無限の可能性」を信じて。

 だけど、わたしは期待に応えられなかった。信頼を裏切ってしまった。

 皇太子妃になるべく長年の修行に耐え、ダニエルが皇子だった頃からあらゆる邪魔者や敵対者を威嚇し、退けてきた。彼自身を鍛えるだけでなく、多少のわがままをやりすごしたし、浮気には目をつむってきた。彼に知恵を授けたりアドバイスを送り、執務を支え続けもした。さらには、彼の失敗や不行跡の尻拭いもやった。つまり、彼を陰で支えて矢面に立った。

 そのわたしの態度は、あらゆる人々にひどく傲慢で独善的に受け止められた。だからこそわたしは、「世紀の悪女」として怖れられた。
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