「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「ごめんなさい。失言だったわ」

 素直に謝った。いまのは必要なかった。

「いや、いい。それにしても、こうして待っているというのも苦痛だな。しかし、まだ一人っきりでなくてよかった。きみが来てくれなかったら、おれはここで一人ポツンと待たねばならなかった。いろいろ悲観的なシチュエーションを想像しつつね。それどころか、ヘルマンのところにいたかもしれない。王都まで足をのばすことすら出来ないままに」
「そんなことはないわよ。あなたが一人でこの国に来たのだったら、いまごろあなたはエドとフェリペといっしょに出かけていたはずよ。一人で待つより、いっしょに行動すると言ってね」
「それもあるかもな」
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