「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 どれだけ謝罪したいか。どれだけ言い訳をしたいか。

 だが、それすら出来ないでいる。

 居心地の悪い思いをしながら、馬車はどんどん王都へと近づいて行く。

 到着したのは、ヘルマンの王都での隠れ家だった。こじんまりとした屋敷である。

 馬車内では、最初こそ気まずかった。が、途中からは気分がらくになった。

 ランチタイムをはさんだことで、二人とも気持ちの入れ替えが出来たのかもしれない。それと、無理にアクションを起こしても逆効果だ、と諦めがついたこともある。

 そういうわけで、後半はカヨとの二人きりで心地いいひとときをすごすことが出来た。正直、ヘルマンの隠れ家に到着したのが残念でならなかった。
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