「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 しかし、本音を言うといっしょの部屋がいい。いや、けっしてやましいことをするとかではない。

 彼女との距離だ。物理的に近ければ、もしかすると精神的に歩みよれるかもしれない。近づけるかもしれない。

 いや、なにも彼女とおれが精神的に離れているというわけではない。

 すくなくとも、彼女と元婚約者のダニエル、おれの元婚約者のブランカ。それぞれの元婚約者と婚約者どうしだった頃に比べれば、彼女とおれの間には絆や結びつきはずっとある。

 おれはそう信じている。
< 114 / 426 >

この作品をシェア

pagetop