「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 それはともかく、エドムンドとフェリペは、彼女とおれの頼みをきき入れ、さっそく手配に奔走してくれた。

 彼らの手配がすむまで、おれたちはなにもすることがない。

 とはいえ、この隠れ家から出るわけにはいかない。

 彼らが作ってくれた朝食を食ってから、彼女と二人でこれまでのことを整理した。

 とくになにも真新しいことはなく、結局は流れに身を任せるしかないという結論にいたった。

 おれとは腹違いの兄やその周囲が、はたしておれをどのようにしたがっているか。

 とうてい歓迎してくれるとは思えない。玉座を磨き、宴の準備をし、首を長くして待っているとは。

 よくて「この国から出て行き、二度と来るな」、と脅されるだろう。あるいは、どこかに拉致されたあげくに監禁されるか。最悪の場合は、いますぐにでも暗殺者を差し向けられ、殺されるか。
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