「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「いや、きみのせいではない。すまない。つい……」
「クスト……」

 気がつくと、クストディオの肩に手を置いていた。

「カヨ、同情とか憐れみとかだったらやめてくれ。母は、彼らにとってはいまでもよそ者で、その息子であるおれもそういう認識でしかない。そして、おれは彼らのことを……」

 クストディオは、そこまで言って不意に黙り込んだ。

 その彼の美貌には、いらないことを言ってしまったというような表情が浮かんでいる。
< 126 / 426 >

この作品をシェア

pagetop