「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
『おれは彼らのことを……』

 その後に続けようとした言葉は、いったいなんだったのか?

 ローテーブルの向こう側にいるエドムンドとフェリペもまた、気づかわし気にクストディオを見つめている。

「いやね、クスト。わたしがあなたに同情したり憐れんだりすると思う? いくら『世紀の悪女』と名高いわたしでも、そんなにしたたかではないし傲慢ではないわ。あなた、自意識過剰すぎるわよ」

 クストディオの気持ちに添えればいいけれど、彼の性格だと頑なに拒否をするに違いない。だから、冗談っぽく揶揄ってみた。

 これだと、彼も話をしやすくなるはずだから。
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