「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 このわたしが? 「世紀の悪女」と疎み嫌われているわたしが、横に寄り添って黙っていると?

 どうもしっくりこない。

 彼の横で文句や不平不満を言っているのなら容易に脳裏に浮かんでくるけれど。

 それに彼自身、そんなことは望みやしないわよね。

 先程も「同情とか哀れみはやめてくれ」、みたいな可愛くないことを言っていたし。

 でもまぁ、彼の気持ちもわからないでもない。わたしが彼だったとしても、あのとき同じようなことを言ったに違いないから。

 それでもやはり、気になる。

 これって、もしかしてただの自己満足?

 気がついたら、檻に入れられた獣みたいに扉の前をウロウロしていた。

 どうする、わたし?
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