「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「あっ、いや、遅くにすまない」
てっきりわたしの迅速すぎる対応をツッコんでくるかと思いきや、彼は意外にもそうはしなかった。
それとも、迅速すぎて驚いているのかしら? あるいは、ついていけていないとか?
「もう眠っているだろうなと思いつつ、これが手に入ったからなんならいっしょに、と」
彼は、なぜかモジモジしながら両腕を胸元まで上げた。
右手には葡萄酒の瓶を、左手には二個のグラスを握っている。
「葡萄酒?」
いつもだったら、「葡萄酒だなんていい気なものね」とか「酔わせてどうしようというの?」とか言い返すのに、なぜか言葉がでてこなかった。
もっとも、「酔わせて」云々に関しては、わたしは多少の葡萄酒で酔うようなことはないのだけれど。
書物ではレディの常套句のようだから、使ってみたいだけ。
てっきりわたしの迅速すぎる対応をツッコんでくるかと思いきや、彼は意外にもそうはしなかった。
それとも、迅速すぎて驚いているのかしら? あるいは、ついていけていないとか?
「もう眠っているだろうなと思いつつ、これが手に入ったからなんならいっしょに、と」
彼は、なぜかモジモジしながら両腕を胸元まで上げた。
右手には葡萄酒の瓶を、左手には二個のグラスを握っている。
「葡萄酒?」
いつもだったら、「葡萄酒だなんていい気なものね」とか「酔わせてどうしようというの?」とか言い返すのに、なぜか言葉がでてこなかった。
もっとも、「酔わせて」云々に関しては、わたしは多少の葡萄酒で酔うようなことはないのだけれど。
書物ではレディの常套句のようだから、使ってみたいだけ。