「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 エドムンドとフェリペは言うに及ばず、じつはおれも料理はかなり出来るのだ。

 かならずしもレディが料理をしなければならない、ということはけっしてない。

 だからこそ、おれは武術や剣術同様に料理も独学で学んだのである。

 とにかく、カヨに恥をかかせたくないばかりにいらぬことを言ってしまった。

 いいや。それは違うかもしれない。

 結局、彼女に対して素直になれない。ついついケンカ腰になってしまう。

 なぜだ? これほど好きなのに、いざ彼女を前にするとムダに虚勢を張ったり傲慢になってしまう。

 そのせいでどれだけ彼女を傷つけているか。

 もっとも、おれも彼女に傷つけられているが。

 そこはおたがいさまというところか。
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