「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 それはともかく、このときも不自然なまでに話を中断してしまった。

 腹が減りすぎているから、はやく食いたいというていを装ったのだ。

 そして、腹がいっぱいになってからエドムンドとフェリペから報告を受けた。

 彼らは、バラデス王国の宰相イグナシオ・オルティスとの密会の約束を取り付けてくれたのだ。

 これで一歩を踏み出せる。

 そう思うと震えが走る。

 その約束とは別に、連中が亡くなった母とおれのことをいまだに蔑んでいる。そのこともわかった。

 わかっている。連中にとって、母はしょせん弱小国の人質という存在にすぎない。そして、おれはその人質の子だ。連中は、もしかするとおれに暗殺された国王の子ではないと曲解しているかもしれない。

 それこそ、母とだれかの不貞の子、と。
< 149 / 426 >

この作品をシェア

pagetop