「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 すでに当事者たちはこの世にいない。

 暗殺された国王の血を引いていない、と声高に主張することだって出来るはずだ。

 そう主張されれば、だれもが追随する。その方が穏便に事が運ぶからだ。

 このおれに暗殺された国王の血を引いているというなにか証拠があれば、そのような主張は回避出来るのだが。

 たとえば、顔が似ているとか。同じところに痣があるとか。

 が、残念ながらおれは国王をまったく知らない。だから、似ているのか似ていないのかがわからない。それから、これといった痣はない。
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