「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
厨房に向かって廊下を歩いていると、厨房の扉が開いていて灯りがついていることに気がついた。
(エドムンドとフェリペは、まだ厨房にいるのか)
歩みを止めず歩き続けていると、ボソボソと話し声がきこえてくる。
どうやら、この隠れ家に戻って来るまでに葡萄酒を手に入れたらしい。
「おまえが手に入れたのだ。おまえが持って行けばいい」
「だけどもうこんな時間だし、葡萄酒を持って行ったら変に受け止められやしないだろうか」
「バカだな、フェリペ。葡萄酒は、夜に飲まないでどうする? 朝っぱらから『どうぞお飲みください』と渡す方がよほどおかしいぞ。『おやすみの前に一杯いかがですか?』、と自然な形で渡せばいいだろう」
「だ、だめだ、兄さん。ぼくにはそんな気の利いた台詞は言えそうにない。兄さんが持って行ってよ」
「おいおい、どうしておれが……」
「兄さん、わかっているんだ。兄さんだってカヨ様のことを……」
「だまれ。誤解をされるようなことを言うんじゃない」
(エドムンドとフェリペは、まだ厨房にいるのか)
歩みを止めず歩き続けていると、ボソボソと話し声がきこえてくる。
どうやら、この隠れ家に戻って来るまでに葡萄酒を手に入れたらしい。
「おまえが手に入れたのだ。おまえが持って行けばいい」
「だけどもうこんな時間だし、葡萄酒を持って行ったら変に受け止められやしないだろうか」
「バカだな、フェリペ。葡萄酒は、夜に飲まないでどうする? 朝っぱらから『どうぞお飲みください』と渡す方がよほどおかしいぞ。『おやすみの前に一杯いかがですか?』、と自然な形で渡せばいいだろう」
「だ、だめだ、兄さん。ぼくにはそんな気の利いた台詞は言えそうにない。兄さんが持って行ってよ」
「おいおい、どうしておれが……」
「兄さん、わかっているんだ。兄さんだってカヨ様のことを……」
「だまれ。誤解をされるようなことを言うんじゃない」