「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「エド、すまないな」

 エドムンドの様子を探りたかった。だが、彼はけっしてポーカーフェイスを崩すことはない。

「いいえ。葡萄酒を入手したのは弟ですので」
「あ、ああ、わかっている」

 腹の探り合いってやつだ。

「じゃあ、行くよ。カヨがまだ起きていればいいが。せっかくの葡萄酒だ。眠っていても叩き起こしていただくことにするよ」

 捨て台詞的に言い放ちつつ、彼らに背を向け歩きだした。

 おれってどれだけ姑息なんだ? というか、カッコをつけたがるのだ?
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