「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「護衛が身体検査をするかもしれません。おれたちも、あちら側の身体検査をします。その際、カヨ様はレディということを言い訳にして拒否なさってください。それでもするでしょうが、足まではしないはずです」
「わかったわ。大丈夫よ。こういうとき、『世紀の悪女』っぷりを発揮するから」

 おおきく頷くと、エドムンドとフェリペは小さく笑った。

 視線を感じたのでそちらを見ると、クストディオがこちらを睨みつけている。

 深夜のケンカのことをまだ怒っているに違いない。

 なんとなく気まずい思いをしながら視線をエドムンドとフェリペに戻した。

 そして、カフェに向けて出発した。

 馬車ではなく、歩いて王立公園に向かうのである。
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