「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「カヨの心配ではなく、クストの心配をしているのです。彼のせっかくのチャンスをカヨが潰しかねません。というか、隣国が荒れに荒れるかもしれません」
「お兄様、どういう意味ですか? 失礼すぎます。だいたい、クストがそう望んでいるのです。当然、荒らすにきまっています。彼の支持者たちの思惑通り彼を隣国の王太子に、いいえ、国王にするのです。こんなワクワクどきどきすることってありませんわ。ですから、なんと言われようと行ってまいります」

 お兄様は、目に見えて落胆した。

 わたしが一度言いだしたらぜったいにそうするということを、彼が一番よくわかっている。

 というわけで、慌ただしくなった。

 そうして、翌日には出発した。

 隣国バラデス王国へ。

 さあ、面白くなるわよ。

 不安感より、ドキドキわくわく感が半端ないわ。
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