「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 宰相は、店内からテラスへと出た奥まった席にいた。

(へー)

 というのが宰相(かれ)の第一印象だった。

 想像していたよりかは若く、しかも渋い美貌である。

 宰相は、わたしたちが近づくとさっと立ち上がって見た目は友好的な笑みを渋い美貌に浮かべた。いまから観劇かパーティーにでも行くつもりなのか、正装がバッチリきまっている。
 正装をまとうその体は、かなりがっしりしている。がっしりというのは、贅肉ではない。ひとめ見て、筋肉とわかるがっしりという意味である。
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