「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 カフェを出てから王立公園内を通り抜け、隣接している市場に行った。

 王都の台所と呼ばれる市場は、多くの店が立ち並んでいる。

 市場の内外に買い物客が大勢いて、その数に圧倒されてしまった。

 エドムンドとフェリペの案内で、そこでしばらくすごした。

 アルファーロ帝国ではなかなか見かけることのない食材や物がちらほらあり、物珍しさにずいぶんと長く足を止めたり、試食をさせてもらったりと楽しいひとときをすごした。

 宰相の手の者に尾行されることを前提に、こうして人ごみの中に身を置いているのに、ついついそれを忘れて楽しんでしまった。

 ついでに夕食の買い物もすませ、エドムンドとフェリペが尾行者がいないと確信してから隠れ家へと戻った。

 その間、カフェでのことについて話はいっさいせず、そこでの出来事について話をしたのは、隠れ家に無事に戻ってからだった。
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