「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「『あの方』、だって?」

 隠れ家のエントランスでクストディオがクスクス笑いながら言った。

「宰相のあの顔を見た? 『だれだ? だれが裏切っている?』って動揺していただろうな。それにしても、カヨ。あれは、はったりもいいところだ」
「わかっているわよ」

 階段をのぼりかけたけれど足を止め、クストディオに近づいた。
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