「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~

夜のひととき

「第一王子に会える可能性ですか? そうですね。可能性ということでしたら、あるかもしれません。じつは第一王子にはちょっとした趣味がありまして、それをまだ続けているとすれば会え可能性があるのです」
「それよ、それ。それに賭けましょう」
「おいおい、カヨ。そんなに簡単にいくわけ……」
「クスト、こういうことってやってみなくてはわからないでしょう? あなたみたいに物事をなんでも慎重に考えるのはいいことだけれど、慎重(それ)はときに臆病と言えるわ」
「わかったわかった。きみのおおせのままに。エド。それとは別に、ヘルマンはどうするつもりなのかな? いつのタイミングで姿を現すのかわからないが、いいところだけかっさらわれるようなことになるのは癪だろう? もしかすると、彼はおれと宰相が潰し合うのを期待しているのかな?」
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