「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 夕食は、市場で入手した食材を使ったメニューだった。どの料理も「しあわせの絶頂」と断言出来るほど美味しく、ついつい食べすぎてしまった。

 エドムンドとフェリペは、わたしをダメにしてしまう。

 彼らの作る料理は、最高すぎて怖ろしい。

 しあわせを噛みしめつつも、いろいろな意味で不安にもなる。

 とはいえ、四人で楽しく喋りながら美味しい料理を食べるということもまた、しあわせだと感じる。

 元婚約者だったアルファーロ帝国の皇太子ダニエル・ウリバルリと一緒だったときにはけっしてなかったものが、ここにはたくさんある。

 いいえ。厳密には、彼にはなかったものがクストディオとエドムンドとフェリペにはある。
< 196 / 426 >

この作品をシェア

pagetop