「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 とくにクストディオは、ダニエルとのうんざりした関係とは違う関係を築けつつあるようにうかがえる。

 もっとも、ケンカばかりしているけれど。

 そのケンカですら、ダニエルとの間にはいっさいなかった。

 ダニエルとわたしの関係は、それほど希薄すぎたのである。

 それはともかく、とりあえず宰相との密会を無事に終えたことで、全員がリラックスしている。

 わたしのことを毛嫌いしているクストディオですら、ずっと笑顔で会話を楽しんでいる。

 彼は、夕食後に「一杯やろう」とエドムンドとフェリペを誘った。

 昨夜は、頑なに拒否をしていたのに。

 一方、誘われたエドムンドとフェリペもその誘いに応じたから驚きである。

 二人もまた、昨夜は頑なに拒否をしていたのに。

 男性ってわからないのよね。まるで子どもみたいに、そのときによってコロコロと態度や好みがかわってしまう。
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