「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 あいつは、おれの形ばかりの婚約者であるブランカ・プレシアドにまんまとだまされたのだ。

 ブランカは聖女の家系の出身だが、彼女自身にその力はまったくない。すくなくとも、いまのところは覚醒していない。

 どっちもどっちだろう。おそらく、彼女の父親である宰相の差し金に違いない。

 たがいに利害が一致したのか?

 とにかく、薄っぺらな信頼と浅く広い愛情の狭間でいつまでもつのか。

 とりあえず、カヨとおれはたがいの婚約者から婚約を破棄された。

 どうやらおれは、ブランカを顧みることなくカヨと浮気をしていたらしい。

< 20 / 426 >

この作品をシェア

pagetop