「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 だとすれば、おれの意識はぶっ飛びまくっていたことになる。

 第三者からすれば、婚約を破棄する為のバレバレの嘘である。が、じつはあながち嘘ではない。

 ブランカに興味はなかった。だから、彼女を顧みないどころか向き合おうともしなかった。

 そして、彼女もおれには興味がなかった。

 なにせおれは「はぐれ王子」だから。

 亡くなった母はこのアルファ―ロ帝国の王女ながら、当時は敵国だったバラデス王国の国王に人質として嫁がされ、結局離縁されて戻って来た。

 赤子だったおれを抱いて。

 母は間もなく失意のうちに亡くなったが、おれはお情けで生かされている。

 そんななにもない存在のおれに、あのブランカが興味を持つわけがない。
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