「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 が、そのときにはなにも言えなかった。

 他人を傷つけるかもしれないということより、ただ単純に「カッコいい」とよろこんでいる彼女の笑顔を見たからだ。

 こうなったら、彼女にナイフを抜かせなければいい。

 心からそう誓った。

 そうして、宰相との密会場所に向った。

 そこまで徒歩で行くのである。 
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