「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 おれが「暗殺された国王の血を引いていない」ということにするのではなく、その国王の遺言がなかったことにするつもりなのだ。

 なるほど、と思った。

 国王の遺言の存在を知る者は多くはない。かぎられている。

 隠す、あるいは葬ることはじつに簡単だろう。

 一瞬、その想定外のなりゆきに頭がついていかなかった。

 が、カヨは違った。

 彼女は、即座に頭も心も切り替えたのだ。
< 216 / 426 >

この作品をシェア

pagetop