「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
(あれだけ深く長く眠っていたのだから、寝起き特有の気怠さはないわよね)

 上半身を起こしてから寝台からすべりおり、素足のままガラス扉へと向かった。近づくと、カーテンをおもいっきり開けた。

 まぶしい陽光が顔面を襲った。

 両腕をかざさねばならなかった。

 テラスに出ると、階下から人の声がきこえてきた。具体的には、クストディオとエドムンドとフェリペの声である。

 手すりから階下を見おろすと、三人とも剣を持ってなにやら真剣に話をしている。

 エドムンドが剣の型をしているのを、クストディオが熱く見つめている。

 クストディオが、エドムンドとフェリペに剣を教えてもらっているらしい。

 その光景をボンヤリ見つつ、ふと思い出した。

 クストディオは、剣を独学で学んでいたのだということを。
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