「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 当然のことながら、彼らはすぐに気がついた。

 三人は、同時にこちらを見上げた。

「がんばっているわね」

 自分の声が異常なほど弾んでいるのを自覚する。

 が、三人の顔が真っ赤に染まった。

 朝の陽光の中、それがはっきりわかった。

 そう認識したときには、彼らは真っ赤な顔をあらぬ方向へ向けていた。

「カヨのおっちょこちょい!」

 クストディオが、まったく違う空間をにらみつけつつ怒鳴ってきた。
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