「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「皇宮にいた頃、皇族付きの護衛騎士たちに同じように頼んだことがあったんだ。が、彼らはおれみたいな『はぐれ王子』に剣など扱えるわけがないとバカにした」
「ええ、覚えているわ。それで決闘騒ぎになったのよね」
「そうだった。あのとき、きみが尻拭いをしてくれたんだった。騎士たちがあれほど弱いとは思いもしなかったからな。ぶちのめしてその責任を追及されそうになったのを、きみが助けてくれた」
「わたしじゃないわ。お父様よ。お父様ったら、笑っていたわ。『護衛の騎士たちが弱すぎるのではない。クストが強すぎるのだ。それなのに、剣の才能を伸ばすことが出来る環境がない。それが残念でならない』とも言っていたわ」
「セプルベタ侯爵が? それはかいかぶりすぎだが、ありがたい話だ。思えば、きみたち家族だけだ。こんなおれを気にかけてくれたのは。もっと感謝すべきなのだろうな」
「なにを言っているの。当然よ。あなたとわたしは、その、なんていうのかしら。腐れ縁? そういうのだし」
「ええ、覚えているわ。それで決闘騒ぎになったのよね」
「そうだった。あのとき、きみが尻拭いをしてくれたんだった。騎士たちがあれほど弱いとは思いもしなかったからな。ぶちのめしてその責任を追及されそうになったのを、きみが助けてくれた」
「わたしじゃないわ。お父様よ。お父様ったら、笑っていたわ。『護衛の騎士たちが弱すぎるのではない。クストが強すぎるのだ。それなのに、剣の才能を伸ばすことが出来る環境がない。それが残念でならない』とも言っていたわ」
「セプルベタ侯爵が? それはかいかぶりすぎだが、ありがたい話だ。思えば、きみたち家族だけだ。こんなおれを気にかけてくれたのは。もっと感謝すべきなのだろうな」
「なにを言っているの。当然よ。あなたとわたしは、その、なんていうのかしら。腐れ縁? そういうのだし」