「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「なるほど。きみがバーデン王国の第一王子か?」
 クストディオもいけすかない青年の正体に気がついたらしい。

 表情をあらため、尋ねたというよりかは断言した。

「ああ、そうだよ。そして、おまえが『はぐれ王子』というわけだ」

 やはり第一王子だった。

 宰相の第一印象がそうであるように、彼の第一印象(それ)も最悪だわ。

 なにも暴言まがいのことを言われたからではない。直感的なことも含め、すべてにおいて合いそうにない。

「伯父貴と会ってやり込められたって? その度胸だけは認めなくてはな。どうやらはぐれ者は、ハングリー精神が旺盛なようだ。それから、身にそぐわぬ野心も持ち合わせているというわけか?」

 第一王子は、大笑いしている。

 彼の笑いのツボが理解出来ないわ。

 彼のデリカシーがなさすぎるのと同様に。
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