「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 二、三歩歩いてみたけれど、激痛とまではいかなくても体のあちこちが痛む。

(階段から落ちたのだから仕方がないわよね)

 だけど、さいわい足を挫いていたりということはない。

 歩くのに支障がなくてよかった。

「さあ、こっちだ」

 クストディオが第一王子を居間へと導いている。

(ほんと、第一王子って癖の強い男ね)

 苦笑しながら井戸へと向かった。

「カヨ様」

 裏口は、厨房内にある。

 厨房に入ったところで、フェリペが追いついてきた。
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