「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「ありがとう。とってもうれしいわ。だけど、せっかくの茶葉をあんな奴の為に使うのはどうかしらね」
「第一王子は、ああ見えて茶や花、劇や音楽といったレディが好みそうなことについては見識が広く、豊富なのです」
「なるほど。それを武器に『そそられるレディ』を落とすわけね。それだったら、いい茶葉で淹れた方がいいわよね。わたし的には、洗濯や食器を洗った後の水で充分だけど」
「カヨ様、いくらなんでもそれは……」

 やだ。フェリペ、冗談を真に受けちゃって。

 なんて可愛らしいの。

 こんな可愛らしい弟だったら、いくらでも欲しいわ。

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