「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「なるほど。もしかして、きみらの父親は、王弟か? たしか、いまは摂政だったな?」

 クストディオがわたしの横でつぶやくように言った。

(いやだわ。わたしもそんな気がしたから、いままさに言おうとしていたのに)

 クストディオに台詞を奪われてしまった。

 気に入らないけれど、いまはわたし個人のモヤモヤはどうでもいい。

「へー。よくわかったな。その通りだ」
「そのことを知っているのは?」
「国王が『じつは暗殺された』、と知っているのと同じ者たちさ」

 クストディオと顔を見合わせてしまった。
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