「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「ハッハハ! クスト。きみの奥方は、あいかわらず元気だね」
「ありがとう、ヘルマン。だが、はっきり言ってくれ。妻は、色気よりも食い気が旺盛だとな」
「それは、さすがに失礼だろう?」
「ちょっと失礼なことを言わないで。だけどね、元気なのはわたしではなくわたしのお腹の虫よ。わたしの意思に関係なく、暴れたり鳴いたりするの」
「腹が減って当然です。カヨ様は、昨夜夕食を召し上がっていないのです」

 言い訳というかごまかしというか、とりあえず適当なことを言ってやりすごそうとしているところに、突然フェリペが主張を始めた。

「カヨ様、召し上がって下さい」

 そして、フェリペは猛烈に勧めてきた。
< 289 / 426 >

この作品をシェア

pagetop