「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「グッ」

 クストディオの美貌が歪んだのが、横目で確認出来た。

「エドとフェリペの料理は美味いからね。たった数日だが、太ったのではないかい?」

 ヘルマンは、ローテーブルの向こうでクストディオに尋ねていた。

 たしかに、エドムンドとフェリペの料理は美味しすぎてついつい食べてしまう。

 クストディオもけっこう食べているから、ヘルマンの言う通り太っていてもおかしくない。

 ずっと一緒にいるからその変化はわかりにくくても、しばらく離れていたヘルマンなら一目瞭然なのかもしれない。

 そのとき、ヘルマンと目が合った。
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