「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「もういいわ。ヘルマン。それで、どうして急にやって来たの?」
長椅子に座り直しつつ、尋ねた。
大きな溜息を添えて。
「わたしにしてみれば、太ったというのは褒め言葉なのだが。わたしは、痩せ細ったレディより恰幅のいいレディの方が好みだから」
「恰幅がいい、ですって?」
しつこく続けるヘルマンの言葉で、怒りが再燃しそうになった。
ダメ、わたし。落ち着くのよ。
深呼吸をする。
お兄様に「深呼吸、十数える。これらは、気分を落ち着けてくれる。試してみるといい」と、ことあるごとに言われている。
わずかだけど落ち着いた。
「ヘルマン、あなたのレディの好みはいいわ。あなただって危険を冒して王都に戻ってきたはずよ。なにもわたしを揶揄ったり、好みのレディを告げたいからではないでしょう? さっさと本題に入りましょう」
ヘルマンはなにか言いたそうだったけれど、気がつかないふりをした。
だって、きりがないから。
そしてやっと、本題に入ることが出来た。
長椅子に座り直しつつ、尋ねた。
大きな溜息を添えて。
「わたしにしてみれば、太ったというのは褒め言葉なのだが。わたしは、痩せ細ったレディより恰幅のいいレディの方が好みだから」
「恰幅がいい、ですって?」
しつこく続けるヘルマンの言葉で、怒りが再燃しそうになった。
ダメ、わたし。落ち着くのよ。
深呼吸をする。
お兄様に「深呼吸、十数える。これらは、気分を落ち着けてくれる。試してみるといい」と、ことあるごとに言われている。
わずかだけど落ち着いた。
「ヘルマン、あなたのレディの好みはいいわ。あなただって危険を冒して王都に戻ってきたはずよ。なにもわたしを揶揄ったり、好みのレディを告げたいからではないでしょう? さっさと本題に入りましょう」
ヘルマンはなにか言いたそうだったけれど、気がつかないふりをした。
だって、きりがないから。
そしてやっと、本題に入ることが出来た。