「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「おい、やめておけよ。好きなようにさせろ。バカに付き合うことはない」

 クストディオが止めたけれど、もう堪忍袋の緒が切れている。

「世紀の悪女」と名高いわたしだけれど、一度きりの人生をバカのお守りで終わらせたくはない。だったら、さっさと終止符を打って別の人生を歩みたい。

 出来ればスローライフを。

 だれともつるまず、モフモフ動物に癒されながらのんびりすごすの。

 というわけで、クストディオを無言で睨みつけ、執務室へと続く扉のノブを握って回し、おもいっきり扉を開けた。

 そうして、真っ裸を目の当たりにした。

 婚約を破棄されたのは、その真っ裸事件の夜だった。

 婚約破棄の理由が笑える。

 いいえ。ほんとうは笑ってはいけない。だって、不名誉きわまりないから。

 だけど、笑わずにはいられない。
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