「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 王宮での暮らしで心身ともに疲れ果て、子どもを身籠った状態で寂しかったり不安だったりしたはず。

 もともとは皇女で育ちがよく、やさしくて気弱で、それでいて美しくて気高い。そういうレディだったに違いない。

 書物に出てくるお姫様のほとんどがそうだから。

 いずれにせよ、わたしとはまったく真逆の性質というわけね。

 わたしもお姫様仕様だったら、クストディオもすこしはそれ相応にかまってくれるのかしら?

 そこまで考え、ハッとした。

 わたしったら、どうしてそんなことを考えるのよ。

 そして、苦笑した。
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