「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 バラデス王国に入ってからしばらくは山道を進んでいたけれど、途中で大街道に出てそこを進んでいる。

 両国間の行き来だけでなく、もっと遠くや近くの国々の商人や旅人たちもこの大街道を使用している。その数は少なくなく、いまも徒歩や馬車や馬で行き来している人々がたくさんいて、あらためてこの大陸を縦断している街道の需要の多さに驚いてしまう。

 そして、この街道からもたらされるさまざまな利益は、国家レベルにのぼることがある。だからこそ、各国は協定を結び、その協定を厳守している。

 それが破られたとき、戦争へと発展することも少なくない。つまり、武力でしか決着がつかない。

 バラデス王国とわたしの生まれ育ったアルファーロ帝国間で勃発した最近の戦争もそれが原因だった。

 そしてアルファーロ帝国が不利になり、クストディオのお母様、つまりアルファーロ帝国の皇帝の娘である皇女の一人が、人質同然でバラデス王国の国王に嫁いだのである。 

 しかし、皇女はクストディオを出産してからバラデス王国の国王に一方的に離縁され、アルファーロ帝国に追い返されてしまった。
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