「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~

教えを乞う

 宰相と密会した翌朝のことだ。

 エドムンドとフェリペは、やはりただの諜報員ではなかった。

 二人とも、手にタコがいっぱい出来ている。

 そのタコは、もしかすると料理用のナイフなどで出来たかもしれない。が、おれはそうは思わなかった。
 
 それらは、剣によって出来るいわゆる剣ダコというやつだ。

 まず間違いないだろう。

 そうにらんだおれは、さっそくエドムンドとフェリペを問い詰めた。いや、違う。彼らに頼んだ。

 剣を教えて欲しい、と。

 そのおれの唐突すぎる願いに、二人はたがいの顔を見合わせた。

 おれだって驚く。だから、彼らが驚くのは当たり前だ。
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