「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 夜中と朝だけで実感したほどだ。このまましばらく教えを乞うたら、かなり上達するかもしれない。

 いいや。ぜったいに上達する。

 というわけで、庭で練習にいそしんでいた。

 ふと人の気配を感じ、そちらの方に視線を向けた。

 おれだけではない。エドムンドとフェリペもその気配に気がついている。

 カヨだ。

 彼女は、自分の部屋のバルコニーにいる。そして、おれたちを見つけて満面の笑みで手を振り始めた。

 そこまではいい。彼女は、今朝も輝いている。その笑顔は、どんな宝石よりもキラキラしている。

 そこまではいいのだ。

 が、三人で同時に彼女から視線をそらしていた。

 当然だろう?

 彼女の恰好ったらもう!

 なんと、胸元があらわになっているシャツ姿なのだ。

 おもわず注意してしまった。

 当然だろう?
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